六本木の文喫で開催された「彫刻家 大森暁生展 - 言葉、樹に沁む -」 (2月13日~3月29日)
じわじわと胸に沁む展示でした。
文喫という名前、聞いたことはあったのですが、有料スペースのある書店ということで
なんだか敷居が高いイメージでしたが、ルールを知ればなんとも居心地良く、ルイボスティー
を飲みながら本を読んだり仕事したりぐだぐだできる友達みたいな本屋さんでした。

今回は、大森君(今となっては「大森君」なんて気安く呼んではいけない大先生なのですが、
彼が爽やか青年の頃から知ってるのでそこはお許しいただくとして)の作家業30周年ということでしたが、
ありがたいことに大森作品と共に上村一夫画を飾ってもらったり、本を置かせてもらったり、
楽しいトークイベントも企画していただきました。

彫刻家と漫画家のコラボって面白いですよね。
これもひとえに大森君が上村一夫作品に出会ってビビビと感じてくれたからこそなのです。
彼がまだ籔内先生に師事している頃、近所の書店で『凍鶴』を見つけて読んでくれて、
オマージュ作品の制作に至り、我が家へ許諾を取りに来てくれて、
2001年にお披露目となり、大森暁生氏による『凍鶴』が完成したのです。
いつかまた大森君の『凍鶴』を公開できたらいいね、なんて打ち上げの席で話しました。
2001年に銀座の彩鳳堂画廊で開催された『凍鶴』展のフライヤー

そんな大森君とのトークイベントで話し忘れてしまったネタがひとつありました。
昨年、久しぶりに上村一夫へのオマージュとして「夜咲華」という美しい作品を制作して
くださったのですが、制作のきっかけになったのが、上村一夫オフィス初の自費出版本
『あなたのための劇画的小品集』だったそうで、荻窪Titleで開催した刊行記念展に
来てくれた大森君、家に帰って本を開いたところ、『そうだった!俺はこうだった!そうだった!』
と、凡人には理解できない何かしらの衝動に駆られ、おもむろに「蛾」を彫り出したとのこと。
思わず笑ってしまいましたが、そういう時はきっとすごい集中力なのでしょう…。
父と大森君は会ったことはないけれど、時代を超えて創造する力を与え、受け、生まれるって
なんだか凄い、と思います。
『夜咲華』-上村一夫へのオマージュ- の展示風景

大森君の彫刻が書籍と交わる空間には、贅沢にして静謐な時間が流れておりました。

All Photo : KATSURA ENDO
次の展覧会も楽しみにしています!