以前から復刻したいと思っていた『二都物語』をKindleで公開しました。
電子で残念…という方にもこの機会に試していただければと思っています。
モニターの画面で大きく読む上村作品も悪くありません。
当時ヤングコミックで読んでくださった方にも、初めて聞くタイトルの方にもおすすめしたい
上村一夫が描く激愛浪漫です。
前回は『一葉裏日誌』の文庫版に収録されていた『帯の男』をkindleにアップしたのですが、
今回は単行本化されていないタイトルだったので、本を作る苦労をさらに実感しました。
昔の漫画を出版しようとする方々には頭が下がります。
原稿が残っていても、ページ構成や色指定、セリフの差し替えなどがあり、
やはり当時の雑誌を手に入れないと話になりませんから、
ヤフオクで落とすか国会図書館に行ってコピーしなくてはなりませんでした。
幸い、我が家には数年前に大量の雑誌を寄贈してくださった方がいらしたので、
だいぶ助かりましたが、もしそのご好意がなければ今回の復刻はなかったと思います。
原稿や雑誌からスキャンして、汚れを取ったり、読みやすいようにセリフを入れ直し、
1巻ではカラーページも再現してみましたのでこちらも是非ご覧いただけたら嬉しいです。
あと、以前からの課題…スクリーントーンの下に見えてしまう原稿用紙の枠線をいかに消すかという点。
昔は写真製版だったので、この原稿用紙の枠線というのがちゃんと消えましたが、
現在はスキャンで枠線まで読み込んでしまいます。これを取るのが結構厄介で。
最近はコピペで貼り付けてしまうか、小さい箇所などは手で描いてしまいます。
すごく大きな面は新たに同じスクリーントーンを見つけて貼り付けたり。(クリスタ様様です)
世はデジタル主流になれど、モニターに写し出される手描きの線はつくづく美しいと思います。
美大を受験するために夜中デッサンに励んでいると、酔った父が帰宅して、「天才の線を見せてやる」
などと言って人のスケッチブックにサラサラと絵を描き始めたことなど、つい最近のことのように思い出しました。
セリフを打ち直しているときには、話に引き込まれてしまったり、作者のやさしさが垣間見えたり。
時空を超えた交流ができたような…生前は父の仕事のことなどちっとも興味がなかった自分にとっては不思議な作業です。
今後も今ではなかなか手に入りにくい作品をkindleシリーズで公開する予定です。
前回アップした『帯の男』も大好きな漫画なので、こちらもどうぞよろしくお願いします。