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上村裏日誌

2019/09/11 Wed

青春横丁

以前のブログで、上村一夫が書いた「鬼恋童」の解説を読んで『青春横丁』が読みたくなったと書いたが、その後、書庫から『青春横丁』の原稿を探し出した。

幸い原稿はすべて揃っていた。

 

17才の街子は、15の夏に3人の男たちに犯されてしまう。

その悪夢にうなされながら、ある日学校を辞めて青春横丁に住みつき、ラーメンの屋台を引いて暮らすようになる。

そこには街子が慕う医者の北沢南雲や、ヤクザ、ゲイのママ、青い目のレズビアンなど、様々な人間が入り乱れていた。

ある日、街子は若い陶芸家の心平という男と出会い、恋に落ちる。

恋に溺れる街子と心平。

しかし、溺れるほどに心平の心には陶芸への思いが溢れ、、、

 

ある日 、心平は街子に黙って街を出た。

心平を追う街子。

ついに見つけた心平は、福井のとある街で陶芸に打ち込んでいた。

創作に没頭し風貌の変わった心平の姿に驚愕する街子だったが、ふたりの仲は再び燃え上がる。

 

 

 

ある日、出先で怪我をした心平の元に、京都から母親がやってくる。

心平の実家は京都西陣の織元であった。

対立する厳粛な母と奔放な街子。

街子は旅に出た心平を待つために京都へ行き、

厳格な母のもと、心平の実家で女中として心平を待つと決めた。

 

 

 

 

激しさと静けさ、人情と愛憎が入り混じり、可笑しいような、哀しいような、そんな気持ちにさせる物語。

福井の取材旅行を思わせる風景が時々現れて、少し胸が痛んだ。

横丁の場面などは、上村一夫の原風景のひとつなのでは、と思うところもあり、この後に連載が始まる「関東平野」への布石になったのかもしれないと感じた。

 

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