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上村裏日誌

2019/08/07 Wed

鍵田真由美という人

フラメンコダンサー・鍵田真由美。

日本が誇るフラメンコの踊り手。

パートナーの佐藤浩希さんと『ARTE Y SOLERA』を主宰している。http://arte-y-solera.com/

2002年に「FLAMENCO曾根崎心中」で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。

本場スペインでも公演を行い高く評価され、

2006年にはNewsweek日本版で「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれているという。

  

そんな彼女とは小学校から高校まで一緒だった。

自慢の同級生なのです。

  

彼女が大学の頃に目覚めたフラメンコの卒業公演を観に行って以来、活躍の噂は耳にしていたけれど、若いときは自分に余裕がなく、この頃になってようやく公演に足を運ぶようになった。

  

久しぶりに観たのは2014年の「道成寺」。

驚いたのは、40代になってからの彼女は、衰えるどころか、より輝きを増し、この世のものとは思えぬほど美しかったことだ。

  

そして、「FLAMENCO曾根崎心中」が話題になっていたことは知っていたが、和とフラメンコの融合をここまで見事に踊り、演出するARTE Y SOLERAの素晴らしさを知った。http://arte-y-solera.com/performance/

  

その後も、「Ay曾根崎心中」や「愛の果てに」、そして先日は「琥珀」という舞台を観た。

どれも凄いの一言。

  

フラメンコというと、好きな人が偏る印象があったが、鍵田真由美の存在はフラメンコという枠を越え、どこの国でもない、ひとつの芸術として完成している。

彼女が舞台に現れるだけで鳥肌が立ち、空気が一瞬で変わるのだ。

  

実は幼少期に、同じモダンバレエ教室に通っていた仲でもある。

私などはなんとなく綺麗な衣装着てはしゃぐ程度のものだったが、鍵田真由美は違った。

  

ある年の発表会で「ピーターと狼」を皆で踊ったのだが、彼女の役は狼だった。

狼がそろりそろりとやってくる姿、恐ろしい牙さえ見えるような、狼としての彼女の踊りは今も目に焼き付いている。

  

そんな子供の頃からただならぬ才能を漂わせていた彼女が出会ったフラメンコだが、ARTE Y SOLERAの特徴ともいえる和とフラメンコの融合した作品は秀逸だ。

  

「道成寺」「曾根崎心中」「女殺油地獄」など、歌舞伎や文楽の演目で魅せる女の情念の舞いは凄まじい。

  

そこにはどこか上村一夫作品にも通ずるものがあり、それに気づいた時には震えた。

  

幼い頃に同じ学び舎に通った同級生が、父の描いた女の情念の世界を踊りによって表現している!と。

  

鍵田真由美はまだまだ踊り続けます。

  

彼女の活躍を楽しみに、そしていつか上村一夫作品とのコラボレーションができたらどんなに素敵だろうと思う。

  

セルジュ・ルタンスのアートから飛び出したような鍵田さん。

  

そういえば、うちの父はギタリストになろうかイラストレーターになろうか迷ったほどギターが上手かった。

特にフラメンコギターが好きで、膝を立ててジャカジャカとギターを弾いたりしていた。

これはギター弾きのアルバイトをしている若い頃の写真。

漫画家になる前はこんな絵も描いていたのです。

50年以上前に描かれたもの。

  

鍵田真由美という人の踊りに触れ、フラメンコも日本で独自の進化を遂げたということがわかる。

父もきっとファンになっていただろうな。

  

  

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