発売まで一週間を切りました。
昨日は発売日の6月12日から始まる原画展『血とエレジー』で飾る絵をセレクト。
「人喰い」の原稿も、もちろん飾ります!
それにしても久しぶりのコミックの発売。
「人喰い」という漫画を読んだことがある人はどのくらいいるんだろう。
そしてそれを憶えている人は?
そもそもなぜ「人喰い」なのか?
上村一夫の作品の復刻に携わり10年近く経ちますが、実はこの「人喰い」をちゃんと読んだのは昨年のこと。
2017年の阿久悠記念館での展示『阿久悠と上村一夫展』の前に、書庫で原稿を見つけ、(そういえば読んでなかった!)と読み始めたところ、そのドロドロとした世界にグイグイ引き込まれてしまったのでした。
「人喰い」の連載がスタートしたのは、1971年1月、阿久悠さん33才、上村一夫30才の頃。
阿久さんは前年に「白い蝶のサンバ」が大ヒットし、上村一夫もようやく漫画家として順調に仕事が来るようになっておりました。
そんな30代前半の、まさにこれから時代の波に乗ろうとしていた二人が、芸能界の裏側をこんな風に漫画にしてしまったのか!ということも興味深く思え、またこれは何周回ってかわからないけれど、赤いシリーズのような面白さがある、と思ったのです。(赤いシリーズは後年1974年のスタートでした。)
阿久悠さんと上村一夫のこんな珍しい漫画が、誰も知らないまま埋もれてしまうかもしれないと思ったら、どうにも本にしたくなり・・・
そんな衝動を受け止めてくださったのが、当時「人喰い」を連載していた漫画アクションの出版社、双葉社の担当Iさんでした。(Iさん、ありがとうございます!)
「人喰い」発表の翌年、上村一夫は同誌に連載した「同棲時代」で大ヒット。
以降、「狂人関係」「離婚倶楽部」「すみれ白書」等々、アクションでの連載は続きました。
上村一夫が亡くなってからも、「同棲時代」の文庫版の復刻をしていただきましたが、今回は久しぶりにご縁を感じてご一緒させていただくことに。
そして、あとがきにはなんと阿久悠先生のご子息であり、私の大切な友人でもある深田太郎さんがご執筆くださいました。太郎さん、ありがとう。(泣)
太郎さんとはトークイベントでご一緒しましたが、文才もある方なのです。
貴重なお話を書いていただきました。どうぞお楽しみに。
早く本が上がってこないかな。
新刊を手にするのは久しぶりなので、嬉しい気持ちでいっぱいです。