パオロさんはイタリアの方です。
イタリアで日本の漫画を研究したり、大学で教えたり、翻訳家として活躍されています。
https://twitter.com/asamichiaki
そしてとにかく上村一夫作品にお詳しい。
なぜ遠く離れたイタリアで上村一夫に魅せられたのか不思議ですが、
今日はそんなパオロさんとの出会いから今までを振り返ってみようと思います。
初めてのコンタクトは、2012年にパオロさんのホームページでインタビューを依頼されたことでした。http://unastanzapienadimanga.blogspot.com/2012/06/le-interviste-kamimura-migiwa.html
以前から上村一夫で検索するとパオロさんのサイトが出てくるので、その存在は知っていました。
なので、気軽な気持ちでインタビューをお受けしたのですが、とにかく日本語が完璧だし、漫画に対する研究心がすごいのです。http://unastanzapienadimanga.blogspot.com/
当時、イタリアで上村作品はまだ出版されていなかったのですが、その後もいろいろな場面で上村作品を取り上げてくださいました。
2012年にローマ市庁舎のカンピドリオで開催された『少女漫画についての講演会』で使用されたポスター。ローマ大学の教授 マリアテレサ・ホルシ氏とローマ大学研究生のルカ・ミランさん、そしてパオロさんが「少女漫画と女性漫画の世界」について講演されたそうです。
その後、2013年に来日された際、初めてお会いして、我が家に原画を見にいらっしゃいました。
その時、せっかくだから何かリクエストがあればご用意します、とお伝えしたところ、「怨霊十三夜」の『蝦蟇』を原稿でお読みになりたいとのことで、あまりのマニアックさに驚いたことを覚えています。
また、パオロさんの来日中に、幻と言われていたドラマ版「同棲時代」のテープが見つかり、CS TBSで放送があったのですが、それをごく近しい上村ファンで集まって観よう!という会がありました。
ディープな西荻窪のお店で、漫画関係からミュージシャンまで、濃い面子が集まりました。
そこにせっかくだからとパオロさんもお呼びして、楽しい時間を過ごしました。
そして2014年、ついにJPOPさんからイタリア語版「修羅雪姫」を出版していただくことになりました。https://www.j-pop.it/867-le-opere-di-kazuo-kamimura
また、アルカディア国際コミックス&ゲームスというフェスティバルで「上村一夫 エロスの世界」という複製画展を開催していただくことに。
ArTcevia International Art Festival 講演会ポスター。『芸者からダークロリータまで。漫画における女性のイメージ』というテーマだったそうです。これも2014年。
こちらは2015年、カタニア大学で行われた「日本からイタリアまで・漫画の道」講演ポスター。講演者はJPOPのヤコポさんとパオロさんでした。
素敵なポスターばかりです。ここにもパオロさんの作品への愛を感じます。
2016年には、JPOPさんから「凍鶴」のイタリア語版を出版していただきました。
これはパオロさんから日本語版では単行本未収録だった第8話と第13話を収録したいとのリクエストがあり、完全版となりました。
また、「修羅雪姫 復活之章」も出版していただきました。
JPOPさんの上村一夫作品ラインナップhttps://www.j-pop.it/867-le-opere-di-kazuo-kamimura
こちらは同年開催されたルッカ コミックス&ゲームスでの上村一夫原画展の様子。「上村一夫の世界」として200点近い原画を初めて海外で飾りました。
2017年にはついに「同棲時代」をJPOPさんから出版。
前年に出版された「凍鶴」はナポリのコミコンで「名作のベストエディション」にノミネート。
またその年のルッカコミックス&ゲームスでは「2017年に出版されたコミックベスト30」で「同棲時代」がノミネート。
ボローニャ大学では、日本現代文学コースのプログラム(試験のための参考書)の学生が読むべき本の中に、なんと「同棲時代」も選ばれたそうです。
そして、昨年は「離婚倶楽部」をJPOPさんから、「しなの川」をCoconinoさんから出版していただきました。
上村一夫作品はパオロさんと出版社さんのお力で着々と認知度を上げていただいております。
父はイタリアの芸術、文化に非常に影響を受けた人なので、もし生きていたらひっくり返るくらい喜んだことでしょう。
それが伝えられなかったことが残念でなりません。
最近パオロさんは映画と日本の漫画の関係について記事を書かれました。
イタリア語なので、全てを理解できたわけではないのですが、とても丁寧に詳しく分析されていて感心してしまいました。
上村一夫の晩年の作品「モガ」に登場する扉絵のポージングはまさにマレーネ・ディートリッヒの姿だったり。
パオロさんの日本の漫画への旅はまだまだつづくことでしょう。
これからも楽しみにしています。