今日は父の原画が長野に旅立って行きました。
今週金曜から開催の竹久夢二展「夢二の夢 そして恋」に向けて。
このお話を頂いたとき、夢二との競演にビビりまくり、企画にゴネてゴネまくった
小心者のひとりっ子でしたが、その後、あらためて父の作品、というより父の存在と
対峙してみたらそんな不安も消え去って、今日は堂々と漫画家・上村一夫の作品を
見送ってきました。
上村一夫の主たる展示作品は、1978年にコスモコミックで連載された 岡崎英生さん
原作の「夢二 ゆめのまたゆめ」の原稿です。
残念ながらコスモコミックが7号で廃刊となり、この「夢二」も途中で終わらざるを得なかったのですが、その内容はとても素晴らしいものでした。
脂の乗った頃の岡崎英生さんの原作と父の画は、竹久夢二という人物を深く丁寧に描いて
いて、あたかもその目で夢二を見たのではないかとさえ思うほど。
今回は第一話と、掲載されなかった第8話の原稿も展示しようと思っています。
多忙を極めた父の原稿には下書きがほとんど現存しないのですが、この「夢二」の
第8話はめずらしく下書きの状態のまま残っていました。
多分、コスモコミックの廃刊が急に決まったからだと思われます。
アシスタントの方が描いたと思われる背景に、これから父が人物を描こうと入れていた
鉛筆の線はかえって生々しく美しいと感じます。
大変貴重なものなので、ご覧頂けたら嬉しいです。
今回は岡崎さんのご好意で、第8話の原作原稿も展示させていただくことになりました。
これも本当に貴重です。
他にも夢二の影響を受けたと思われるような美女画もいくつか展示します。
今回のこの流れ、偶然とは思えぬストーリーがいくつかあって、始まりは去年の
神楽坂「渚の部屋」。上村一夫ファンとおっしゃって長野の飯田からわざわざ
お越しくださったK氏が、当時集めておられた掲載誌を上村一夫オフィスにお譲り
くださり、その中に「コスモコミック」がありました。
その時あらためて「夢二 ゆめのまたゆめ」を読み、いつか何かの形でこの
作品を掲載したいという思いを温めておりました。
その後、確か去年の暮れ頃に今回の企画のお話を聞き、「夢二」しかない!と思って
いたところ、今年の4月に末永史さんの原画展で岡崎英生さんとお会いすることができ、
大まかに夢二展のことをご報告したところ、なんと岡崎さんがご趣味で借りられている
畑から近いということがわかって、これはもう絶対父が夢二との競演のために仕組んだ
ストーリーと思わざるを得なくなりました。
と、最近は不思議な流れが多々あるのでありがたく受け止め、素敵な展示になるよう
明後日から長野に行って参ります。
上村一夫があの世から紡ぐ「ゆめのまたゆめ」。。。