上村一夫はもともとイラストレーターを志していた、 というのは「リリシズム」にも書いてあるようにまあまあ有名な話。
武蔵野美術大学時代は芸能デザイン科で舞台美術(時に役者も)、4年生のときには
広告会社の宣弘社でアルバイト、この時机を並べていたのが後の阿久悠さん。3歳年上の阿久さんの存在は父にとって大きな転機となったのもまあまあ有名なお話。それで思い出しましたが、お茶の水の明治大学にある「阿久悠記念館」では、いま宣弘社時代の貴重な展示を観ることができます。
その後、アシスタントなどの下積み時代なく、漫画家になってしまうわけですが、経歴が経歴なだけに漫画家になってからもデザイン畑にいたクセは消えなかったのか、消したくなかったのか、特に意識していたわけではなかったのかわかりませんが、ポスター・挿絵・レコードジャケットなど、多忙にも関わらず多くのイラストの仕事を残しています。
(そこに注目してくださったのが今月26日から開かれる京都恵文社での展示です)
中でもこだわり続けたと思えるのが、編集の方に原稿を入れて渡すときのオリジナルの
原稿袋。 今になって言われることですが、あんまりそんなことする人いなかったみたいです。初代はモノクロのキャンバス地で、内側に同じようにエロティックな女たちを黒い線画で描いたデザイン。これは元アシスタントの方に寄贈していただいたものが一枚だけ残っています。もうひとつ確か白い袋の内側に、エロティックな女たちが赤い線画で描かれたデザインのものがあった記憶が。これは一枚も残っていません。
そして、最後が「同棲時代」風のコマ割デザインのもの。これは会場でグッズをお買い上げいただいた方に商品を入れるためのビニールバックで復刻しましたが、 実は使われぬままの現物が何枚か残っています。いままで特に意識もせず、ただ残していましたが、今回の京都恵文社と神楽坂artdishの原画展会場では、その現物の原稿袋を販売してみようと思います。少しですが。うちにそんなにあってもしょうがないですからね。価格は現物でそんなに数が残っていないものなので、紙だけど12,000円にさせていただきました。紙は多少劣化していますが、父の事務所で当時フルに使われていたものです。デザインもカッコイイので、ご興味ある方はギャラリーにてお申し出ください。
恵文社さんでもすでにご紹介いただいています。
http://keibunsha.jpn.org/?p=5992
上村一夫原画展「花の輪廻」@神楽坂artdish
2013年3月19日(火)~4月21日(日)15:00~22:00(月曜休)
神楽坂artdish
東京都新宿区矢来町107番地 TEL:03-3269-7289
http://www.artdish.co.jp/g
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「モダニスト 上村一夫の世界」
2013年3月26日(火)~4月8日(月)10:00〜22:00(最終日のみ 18:00まで)
恵文社一乗寺店内 ギャラリー・アンフェール
京都市左京区一乗寺払殿町10 Tel & Fax 075-711-5919
http://www.keibunsha-books.com/